幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

異形譚#01「砂の中」

これは、うちの子がまだ四歳だった頃の話です。

当時、私は育休中で、午後はよく近所の公園に連れて行っていました。

家から徒歩三分、道路を一本渡るだけの小さな公園です。

滑り台とブランコ、鉄棒に、奥の方には四角い砂場がありました。

その日もいつも通り、午後四時過ぎくらいに行ったと思います。

夏が終わりかけの時期で、陽はまだ残っていましたが、空はどこか鈍く曇っていたのを覚えています。

公園には私たちしかいませんでした。

子どもはひとりで砂場へ行き、私は少し離れたベンチに座って見守っていました。

スマホを見たり顔を上げたり、のんびりしていたんですが、ふと気づいたら――子どもが誰かと話しているように見えたんです。

相手は、いないはずなんです。

姿は見えない。でも、明らかに“誰かに向かって”しゃべっている。

笑いかけたり、頷いたり、時折小さく返事をしたり。

気味が悪いというよりは、最初は「誰かいたかな?」という程度の違和感でした。

でも、あたりには私たちしかいません。

試しに声をかけてみました。

「誰と話してるの?」

すると、砂をいじりながら、こちらを見ずにこう言いました。

「ゆうきくん、だよ」

「ゆうきくん? お友だち?」

「うん。ここにいるの」

そのとき、私はもう一度周囲を見渡しました。

がらんとした公園。風もないのに、ブランコのひとつだけが――ゆら、ゆらと揺れていました。

「……風じゃないの?」

思わず独り言のように言うと、子どもがぽつりと返しました。

「ゆうきくん、ブランコすきなんだって」

私はベンチから立ち上がり、砂場の方へ歩いていきました。

子どもは、砂の中にぐるぐると円を描いていました。

円の中には、小石で作った顔のようなものがいくつも並べられていて、見ていてなんとも言えない不快感がありました。

「これ、なに描いてるの?」

「ゆうきくんが教えてくれた“あそび”だよ」

子どもは楽しそうに笑っていました。

でも、私はその“あそび”が、普通の遊びに思えませんでした。

その日を境に、子どもの様子が少しずつおかしくなっていきました。

夜中に寝言を言うようになったんです。

「まだだよ」「いまはママがいるから」「かえしてくれないよ」

そんな言葉を、小さな声で繰り返していました。

昼間も、誰もいない場所に向かって手を振ったり、「いまからいくね」と話しかけたり。

怖くなって、「ゆうきくんって、どこにいるの?」と尋ねたことがあります。

そのときの答えが、忘れられません。

「すなばのなかにいるよ。でもね、かおだけなの」

「顔だけ?」

「うん。ほかのとこは、あそびすぎて、なくなったの」

私は何も返せませんでした。

返したくなかった、というのが正しいかもしれません。

それから、あの公園には行っていません。

特に何かがあったわけではありません。

ただ、ある日、子どもが唐突にこう言ったのです。

「もう、いったらだめなんだって」

「なにが?」

「ママがね、かえってこれなくなるから」

私はその言葉を聞いて、何も言えなくなりました。

そして二度と、その公園の名前を口にしないようになりました。

数ヶ月後、たまたま通りがかったとき、ふと公園の奥を覗いてしまいました。

砂場は、そのまま残っていました。

ただ、四隅に立っていたはずの柵がなくなり、なぜか中央だけが黒ずんで見えました。

近づくと、砂に描かれた跡がありました。

ぐるぐると巻いた線。中心には、小石と棒で作られた、雑な“顔”。

見つめていると、風もないのに、ブランコがまた――ゆっくりと、揺れはじめました。

私はそのとき、声も出せずに立ち尽くしてしまいました。砂場の向こう、ブランコの影の奥に――何かがいたんです。

 

 

長い髪で顔が隠れた、小さな人影。こちらに気づいたのか、ゆっくりと顔を上げました。

片目だけが赤く光っていて、口元は笑っていました

でも、その笑顔に“子どもらしさ”は一つもなかった。

どこか、人のふりをした“何か”がこちらを試しているような、そんな目つきでした。

地面には、まるで髪のようなものが幾重にも広がり、砂の中へと吸い込まれていくように続いていました。

一歩でも近づけば、“あそび”が始まってしまう。

そんな確信がありました。

私は何も言わず、その場を離れました。

振り返らず、音も立てずに、ただ逃げるように歩きました。

そのときふと、子どもが言っていた“ゆうきくん”という名前。

実は――「遊鬼(あそびき)」だったのではないか」と思いました。

昔から“子どもを連れていくもの”として語られる、遊びに紛れた何か。

あれは、ただの空耳じゃなかったのかもしれません。


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