幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

都市怪談録#02「背中の鈴音」

うちの高校は山のふもとにある。校門を出て、東の坂を下りると、古い神社がある。

夏でも木陰が深く、参道は涼しい風が通る。そこから脇へ入った裏道には、昔から妙な言い伝えがある。

「鈴が鳴ったら、振り返っちゃだめ」

そう言われて育った。

なぜ振り返ってはいけないのか、誰に聞いても答えてはくれなかった。ただ、先輩や地元の大人たちは、その道を通る時、決して立ち止まらない。

私はその道を毎朝通っていた。近道だったし、特に怖いと思ったこともなかった。

高校2年の梅雨の終わり、ある朝、その道で鈴の音を聞いた。

チリン……と、かすかに。背中の後ろで、誰かが小さな鈴を鳴らしたような音だった。

風かとも思ったが、風の音ではなかった。金属同士が触れ合う、あの乾いた響き。

私は立ち止まった。背筋に、じんわりと冷たい感触が這い上がってくるのを感じた。

「……振り返るなよ」

どこかで聞いた言葉が頭をよぎった。私はそのまま歩き続けた。

その日から、毎朝のようにその音が聞こえるようになった。

決まって、同じ場所で。背中のちょうど真後ろ。

チリン……という一音だけ。近くもなく、遠くもなく。

友達に話しても、笑われた。「神経質なんじゃない?」って。

三日目の朝、私は試しに歩きながらスマホの録音アプリを起動してみた。

イヤホンで聞いても、何も入っていなかった。

でも、その音は確かにあった。

五日目。私は思いきって振り返ってみようかと思った。

けれど、鈴の音がした瞬間、背中に誰かの吐息のような感触がして、反射的に首をすくめてしまった。

振り返る勇気はなかった。

翌朝から、音はぱたりと止んだ。

代わりに、道の途中に立っている“何か”が視界の端に映るようになった。

 

 

白いシャツを着た誰かが、木の影に立っている。顔は見えない。

正面を向いたまま通りすぎると、視界の隅でその“誰か”がゆっくりとこちらを向くような気がした。

私は見ないふりをして、いつもより早足で歩いた。

そのうちに、気づいたことがある。

あの鈴の音は、「鳴っていた」のではない。

「誰かが、私の背後で鳴らしていた」のだと。

それに気づいたとき、ある奇妙な感覚にとらわれた。

私は――いつからここを通っていた?

思い返そうとしても、はっきりした記憶が曖昧だった。毎朝通っていたはずのこの道。

でも、通学路はもっと舗装されていたような気がする。

学校の友達の顔や名前も、昨日までは覚えていたのに、今はぼんやりとした影のようにしか浮かんでこない。

今朝、学校に着いても、誰にも話しかけられなかった。

教室も、どこか知らない部屋のように感じた。

それでも、私は誰にも何も言えなかった。

今も、この裏道を歩いている。

背中で、また――鈴の音がした。

でも今日は、振り返ってみようと思う。

……それがどういうことになるのか、わからない。

でも、なんとなく。もうすぐ、私の番のような気がする。


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