幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

都市怪談録#03「いつも、ひとりだけ消えるらしい」

地元に「◯◯トンネル」と呼ばれる心霊スポットがある。

正式な名前はあるはずだが、地元の人間は誰もそう呼ばない。

通るたびに何かが減るとか、声だけが返ってくるとか、噂はいろいろあるけれど、唯一共通して語られるのがこれだ。

——行ったやつが、一人だけ帰ってこなかった。

俺とハマと森田は、高校時代からの悪友だ。

社会人になってからはそれぞれ別の仕事についていたが、休日になると集まっては心霊スポットを巡っていた。

スマホで撮影して動画サイトに上げれば、怖がってるだけでもある程度再生される。

ネタ半分、小遣い稼ぎ半分。そんな軽いノリだった。

「次、あの◯◯トンネル行こうぜ」

ハマがそう言ったのは、九月の終わり。夜風に少しだけ冷たさが混じりはじめた頃だった。

夜の11時。

俺たちは山道を登りきり、トンネルの入口に立った。

トンネルは想像以上に狭く、湿っぽい空気が胸の奥に絡みついてくる。

まるで、何かが喉に詰まったような不快感があった。

「おーい、行くぞー」

ハマが先に足を踏み入れ、俺と森田がその後に続いた。

内部は静まり返っていた。風もなく、音もない。

懐中電灯の光は、ぬめるような壁に吸い込まれていく。

「このトンネル、昔事故あったって噂だよな」

「うん。トラックが突っ込んで、歩いてた学生が……ってやつ」

俺が答えると、後ろを歩く森田は無言のままだった。

森田は昔から寡黙で、感情をあまり表に出さないやつだった。でも、それが今日は妙に不気味に感じた。

「おい、鏡あったぞ」

ハマがトンネルの左の壁を指差した。

錆びた凸面鏡が斜めに打ち込まれていて、ほとんど何も映らない。俺とハマが顔を寄せて覗き込んだ。

鏡の中に映っていたのは、ぼやけた俺とハマの顔だけ。

「……あれ? 森田は?」

俺が振り返ると、森田は確かにすぐ後ろにいた。懐中電灯の光が、その顔をちゃんと照らしている。

だけど——鏡には映っていなかった。

 

 

「やめろよ、そういう仕込み?」

ハマが苦笑する。

「角度のせいか?」

俺もそう言いながら、角度を変えてみた。でも何度見直しても、森田だけが映らない。

そして次の瞬間——鏡の中の“俺”と“ハマ”が、ほんのわずかに、口角を吊り上げた気がした。

まるで、こちらを嘲笑うように。

「戻ろう」

「うん……マジでここ、変だ」

俺たちは来た道を戻り始めた。森田も無言のまま、一定の距離を保ってついてくる。

気配も、足音もある。でも、存在感だけがどこか“ずれて”いた。

ふとした瞬間に、そこに“人間”がいないような錯覚を覚えるのだ。

やがて、出口の光が見えた。

俺が先にトンネルを抜け、生ぬるい山の夜風を吸い込んだ。

「……あれ?」

気づくと、ハマがいなかった。たしかに俺の前を歩いていたはずなのに、どこにもいない。

「ハマ? おい、どこだよ!」

トンネルに向かって叫ぶが、声は湿った闇に吸い込まれるだけだった。

そのとき、森田が俺の正面に立っていた。

いつの間に前に出たのか、わからなかった。

ただ、笑っていた。今まで一度も見せたことのない、妙に口元の重たい笑み。

「……お前……何なんだよ」

俺がそう問うと、森田は静かに答えた。

「また、探しに戻らなきゃ。次の“代わり”をね」

その一言で、すべてがつながった気がした。

——ここから出るには、誰か一人が“残らなきゃ”いけない。

森田はすでに、前回の“犠牲者”だった。

そして今度は、俺たちの中から新しい“残る人間”を決める番だった。

「ふざけんなよ……!」

気づけば、俺は森田を突き飛ばし、そのまま走っていた。

声にならない叫びが喉を擦る。耳の奥で、森田の声がぬめるように追いかけてくる。

「一人は、帰れないんだよ」

「誰かが、ずっと残っていなきゃ」

「だからさ……今度は、君の番だよ」

どれだけ走ったかわからない。

気がつけば、俺は車の中にいた。震える手でエンジンをかけ、山を一気に下った。

翌朝、警察に行った。

ハマが行方不明になったと伝えた。

でも信じてもらえなかった。動画も写真も、なぜかハマの姿だけが消えていた。

森田にも連絡がつかない。まるで、最初から存在していなかったかのように。

あれから半年が経った。

誰にも話していない。口に出すと、何かが現実になってしまいそうで。

そして——今日。

玄関に、小さな凸面鏡が置かれていた。

差出人もわからない。ただ、妙に新しく、ピカピカに磨かれていた。

その鏡を、俺は恐る恐る覗き込んだ。

そこには——俺の後ろに立つ、にやけたハマと森田の姿が映っていた。


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