幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

異形譚#09「校庭の祠」

放課後の校庭は、赤く傾いた光に包まれながらも子どもたちの声が響いていた。 

ただ、校庭の隅にある小さな祠のまわりだけは、空気が沈み、誰も近寄ろうとしない。

そこには古びた石像がひとつ置かれていた。形は人とも獣ともつかず、すり減った顔は泣いているのか笑っているのかわからない。

子どもたちの間では、こう言い伝えられていた。

――夜になると、その石像は動くらしい。

四年生の達也と健太、美咲の三人は、祠の前に立っていた。

「本当に動くのかな」

美咲が小さく呟く。

「動くわけねぇだろ。石なんだぞ」

健太が腕を組む。

「……でもさ、この祠って何のためにあるんだろうな」

達也が言うと、美咲が少し顔を曇らせた。

「うちのおばあちゃんが言ってた。昔、この学校ができる前、この辺りに変な石がいっぱいあって……その中で一番大きいのを祀ることにしたんだって。夜になると子どもを連れていくから」

三人は顔を見合わせた。

冗談にしては妙に生々しい話だった。

夕陽が沈み、運動場から子どもたちがいなくなる。三人だけが祠の前に残った。

「そろそろ動く時間だな」

健太がわざと明るい声を出し、懐中電灯を照らす。 

その光の中で、石像が微かに揺れたように見えた。

「なぁ……今、動いたよな」 

達也が息を呑む。

カリ、と音がした。祠の中で、砂利が擦れる。

ずり、ずり、と石の足が地面を引きずる音が響いた。

石像が、ゆっくりと立ち上がる。

「逃げろ!」

三人は一斉に駆け出した。

教室へ駆け込み、息を切らしながら机に身を伏せる。追ってくる気配はない。

「な、なぁ……本当に動いたよな」

健太が青ざめた顔で言う。

「……誰にも言わないほうがいい」

美咲が震える声で言った。

「先生に言ったって、絶対信じてもらえない」

その夜、三人はろくに眠れなかった。

翌朝、教室に入ると、窓際に――石像が立っていた。 

無機質な顔のまま、生徒たちの方をじっと見つめている。

まるで昔からそこにあったかのように、誰も気に留めない。

クラスメイトも先生も、当然のものとして受け入れていた。

だが、達也にはわかった。

――石像の視線は、教室の誰でもなく、自分ひとりにだけ注がれているのだと。

気づけば健太の姿はもうなかった。

窓際の石像は、片腕を失い、その断面が人肌のように生々しく見えた。

それから数日。

毎日ひとり、クラスメイトが消えた。

しかし誰も不審に思わない。

出席番号も名簿も、最初から存在しなかったかのように埋め合わされる。

ただひとり達也だけが、石像が変化していくのを見ていた。

顔は少しずつ整い、失われた子の表情を刻みこんでいく。

「……美咲?」

ある朝、石像は泣き笑いの顔をしていた。

だがそれは確かに美咲の顔だった。

恐怖に耐えかねた達也は、図書室で祠について調べた。

郷土史の古い冊子に、かすれた記録が残っていた。

――かつて村で、子どもが次々に消えた。
――「石の神」が子を喰らうと信じられ、村人はそれを祠に封じた。
――ただし、完全には抑えられず、時折「戻ってきた者」が混じる。

文字はそこで破れていた。

達也は震えながら本を閉じた。

翌朝。

教室には二十数人のクラスメイトが揃っていた。 

だが達也の知っている顔は、もうひとつもなかった。

 

 

全員が、石像と同じ泣き笑いの表情を浮かべていたのだ。

「……やぁ、達也」

誰かが声をかけてきた。

それは健太の声であり、美咲の声でもあった。

だが口を開いたのは、クラス全員だった。

次の瞬間、達也の足が動かなくなった。

皮膚が冷たく硬くなり、石に変わっていく。

最後に見たのは、教室の隅に立つ新しい祠。

そこには、自分と同じ顔をした石像が並んでいた。


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