幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

呪具記#08「石塔の名前」

村の外れに、誰も近づかない石塔がある。

俺たち三人が肝試しでそこへ行ったのは、夏休みの終わりだった。懐中電灯の光が揺れる中、ユウキが石塔の表面を照らした。

「うわ、なんか彫ってあるぞ」

無数の名前が刻まれていた。古いものは文字が読めないほど風化している。新しいものは、まだ鋭い刻み跡を残していた。

「これ、全部人の名前じゃね?」

マサトが指でなぞる。その瞬間、俺は自分の名前を見つけた。

タクヤ

俺の名前だ。間違いない。筆跡まで、俺が書く字にそっくりだった。

「おい、これ誰が彫ったんだよ」

ユウキとマサトも、次々と自分の名前を見つけた。三人とも、同じ高さに並んで刻まれている。昨日彫ったばかりのような、新しい傷だった。

「悪ふざけだろ。誰かが俺らの名前を」

マサトが震える声で言った。だが、この村で俺たちのフルネームを知っている奴がどれだけいる? それに、なぜこんな場所に?

「消そうぜ」

ユウキが石を拾って、自分の名前を削り始めた。ガリガリという音が夜に響く。だが、削っても削っても、文字は消えない。むしろ濃くなっていくようだった。

「やめろって」

俺が止めると、ユウキの手が震えていた。削った部分から、黒い液体が滲み出していた。血ではない。もっと粘つく、腐った何かの匂いがした。

マサトが後ずさる。

「帰ろう。ヤバイって」

その時、石塔の根元が崩れた。

土が陥没し、穴が開いた。穴の中から、白いものが覗いている。最初は石だと思った。だが、懐中電灯の光が当たった瞬間、それが人の頭蓋骨だと分かった。

しかも一つではない。無数の骨が、石塔の下に埋まっていた。

「逃げろ!」

俺たちは走った。村へ、光のある場所へ。

警察が来て、発掘が始まった。石塔の下から出てきたのは、三十体以上の遺体だった。すべて身元不明。だが、骨には刃物で削られたような痕があり、それが文字を形作っていた。

被害者の骨に、彼ら自身の名前が刻まれていた。

警察は言った。

「君たちの名前が彫られていたのは、偶然だろう。昔の記録と一致しただけだ」

だが、俺は知っている。あの石塔の名前は、生きている人間のものだったはずだ。なぜなら——

その夜から、俺たちの体が変わり始めた。

最初は爪だった。妙に硬くなり、割れなくなった。次に皮膚だ。触ると冷たく、石のような感触になっていく。

ユウキが最初に気づいた。

「おい、骨が……」

彼の腕を触ると、肉の下で骨がゴツゴツと主張していた。まるで表面に浮き出ようとしているように。

「医者に行こう」

マサトが泣きながら言った。だが、俺たちは知っていた。これは病気じゃない。

石塔に名前を刻まれた者は、やがて石になる。

そして石になった者は、次の名前を刻むために動き出す。

窓の外を見ると、月明かりの中に人影があった。ゆっくりと、こちらへ歩いてくる。その手には、鋭い石のようなものが握られていた。

彫刻刀のように研ぎ澄まされた、人間の指だった。

俺の皮膚が、音を立てて硬化していく。

 

 


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