幽霊博士の実験記録──AIが綴るショートホラーと恐怖作品紹介

「ホラー小説×AI創作」──AIが綴る怪談短編と、恐怖を解剖する作品紹介。

学苑怪談#07「校庭の古い机」

僕が学校に行かなくなって、三ヶ月が経っていた。

親も先生も、もう諦めたように何も言わなくなった。部屋に閉じこもって、ただ時間が過ぎるのを待つ日々。そんな生活に、嫌気がさしていた。

ある日の夕方、ふと思い立って学校に向かった。誰もいない時間を狙って。

正門を避けて、裏手の壊れたフェンスから校庭に入る。陽が傾きかけた空の下、誰もいない校庭はひどく静かだった。

校庭の片隅、体育倉庫の影になった場所に、古い机と椅子がぽつんと置かれていた。

ペンキが剥げ、天板には無数の落書きと傷。誰が置いたのか、いつからあるのか、わからない。廃棄されるのを待っているだけの、忘れられた家具。

なぜか足がそちらに向いた。

椅子を引いて、座った。

その瞬間、世界が止まった。

風が止まった。雲が止まった。遠くで鳴いていたカラスの声が、ぴたりと途切れた。

まるで時間が凍りついたように、すべてが静止している。

僕だけが動ける。僕だけが、この止まった世界の中にいる。

奇妙な感覚だった。でも、怖くはなかった。むしろ、心地よかった。

誰も僕を見ない。誰も僕に話しかけない。誰も僕を必要としない。

完璧な孤独。

僕はそのまま座り続けた。どれくらいの時間が経ったのか、わからない。止まった世界では、時間の感覚が失われていく。

やがて、少し飽きてきた。

立ち上がろうとした。

立てなかった。

体が、椅子に張り付いたように動かない。腕も、足も、まるで見えない糸で縛られているように、ぴくりともしない。

焦りが込み上げてくる。必死に体を動かそうとするが、首から下がまったく言うことを聞かない。

そのとき、足音が聞こえた。

「あ、やっぱり誰かいる」

女子生徒の声だった。振り向くこともできないが、気配で二人いることがわかる。

「え、あそこにいるのって…」

「ほんとだ。何してるんだろう」

彼女たちは近づいてきた。僕のすぐ横まで来て、顔を覗き込む。

「ねえ、大丈夫?」

返事をしようとした。でも、声が出ない。口が動かない。

「なんか、変だね」

「先生呼んでくる?」

彼女たちの声が聞こえる。でも、僕の声は届かない。

必死に目を動かして、助けを求めようとした。でも、彼女たちの視線は、僕を素通りしている。

まるで、透明人間を見るように。

「でも、誰もいないよね」

「うん。気のせいかも」

彼女たちは首を傾げて、去っていった。

僕は、ここにいるのに。

それから、何人もの生徒が通り過ぎた。先生も来た。でも、誰一人として、僕に気づかなかった。

みんな、机の前を素通りしていく。

ある生徒は、僕の体を避けるように歩いた。まるで、そこに"何か"があることを本能的に感じているように。でも、僕を見ることはない。

夜になった。校庭に明かりが灯る。

翌朝、また生徒たちが来た。

僕は、ずっとここにいる。

動けない。声も出せない。誰にも気づかれない。

机に座ったまま、ただ時間だけが過ぎていく。

いや、違う。

時間は止まったままだ。

動いているのは周りの世界で、僕だけが取り残されている。

何日が経ったのか、何ヶ月が経ったのか、もうわからない。

ある日、業者が来た。校庭の整備をするらしい。

「この机、まだあったのか。さっさと処分しないと」

男は机に近づいた。

天板に手をかける。

僕の目の前に、男の顔がある。

でも、男は僕を見ていない。

机を持ち上げようとして、男が顔をしかめた。

「重いな。何か挟まってんのか?」

違う。僕が座ってるんだ。僕がいるんだ。

男は机を揺すった。僕の体も一緒に揺れる。でも、男には僕が見えない。

「変だな」

男は首を捻って、机を元の位置に戻した。

「まあ、いいか。また今度」

男は去っていった。

机は、また片隅に置かれたままになった。

僕を乗せたまま。

もう、誰も来ない。

季節が変わった。雨が降った。雪が降った。また春が来た。

校庭の片隅で、古い机と椅子は朽ちていく。

 


そこに誰かが座っていることに、誰も気づかない。

誰も。


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